カメラマンに声をかけた。かつて中央アジアを横断したとき、ともに旅した仲だった。ひょんなことからH君という青年が加わることになった。出会ったのは一軒の沖縄居酒屋だった。彼は実家のレストランの調理人として働いていたのだが、体調を崩し、しばらく仕事を休んでいた。彼のなかには、そろそろ自分の店をもちたいという野心が頭をもたげてきていて、メニューのヒントをアジアハイウェーの旅でみつけたいという思いがあったようだ。
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僕はこれまでさまざまなアジアの料理を口に放り込んできたが、そのつくり方となると視線が宙を舞ってしまうタイプの男で、どれだけ協力できるのかもわからなかった。予算の関係で、彼の旅費まで面倒をみられなかったが、彼はそれでも行ってみたいというのだった。旅発つ日の朝、僕らは東京の日本橋の脇で待ち合わせた。アジアの旅となると、飛行機に乗るために空港に集まることが普通なのだろうが、今回はバスなのである。徹底してバスなのである。ということは、東京駅の八重洲口から出発する大阪行きのバスに乗るわけで、その記念撮影を日本の道の基点である日本橋で、ということになったのだ。