西洋の諺に、「恋人の間は両目をいっぱいに見開いて相手を見つめなさい。しかし夫婦になったら片目で相手をごらんなさい」というのがあります。実にそのとおりです。だけど現実にはその反対のことをやってしまう、それが人間というか凡人なのです。恋人時代は「あばたもえくぼ」、少々の欠点など目に入らない、他人の忠告など聞かばこそ。ところが結婚すると「えくぼもあばた」になりかねない。こんなはずじゃなかった、と。でも欠点のない人間なんていないのです。相手だって同じことを思っているでしょう。おたがいの欠点を言いたてて、ギスギスした関係で暮らすなんて、何のために結婚したのか。せっかく縁あって夫婦になっだのなら、なるべく相手の欠点は見ないで、いいところだけを見て暮らすようにしたいもの。それが「片目をつぶる」ということです。そして、そうやってしばらく暮らしていると、ふしぎなことに相手の欠点と思っていたことが、長所と思えてくることがあるのです。人間の長所短所はうらはらなもの。やさしい人は優柔不断かもしれないし、気が短い人は決断力がある。ぐずと見えたのが意外にのんびりとおおらかだなんてこともあるのです。そうやって人間を一面的でなく、複合的多角的に見られるようになる。それが成長ということであり、結婚生活はその成長をうながすためのまたとない鍛練の場と言えましょう。