高級車が売れるときには大衆車が売れず、反対に大衆車が売れるときには高級車が不振に陥るといったことがまま起きることを、トヨタ生産方式をやってきた人間なら経験的に知っているからである。ある車種に絞った生産ラインだけだと、そのクルマが売れないときは、それこそどうにもならなくなってしまう。複数車種をやっていると仕事の山谷をならすことができる。だから、混合生産対応ラインが必要なのである。もちろん、つくる側にとっては同一車種だけを流す方が楽だ。
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しかし、それはつくり手の勝手であって、ユーザーはさまざまな違うクルマを欲しがっている。実際、バブル崩壊不況のなかでも、輸入車やRV(レクリェーショナルービークル)の人気が高かった。だが、トヨタはRV人気の動きに素早く乗ることができなかった。以前のトヨタなら、宮田工場のラインでRVを混流するなどは朝飯前のこと、ただちに対応しただろう。事実、戦後のトヨタが初の本格的乗用車クラウンンをつくった生産ラインは、それまでトラックを流していたもので、そこにクラウンをトラックの間に挟んだ形でつくったのである。「混合生産」のはしりだった。