子供が選ぶ相手が、自分にも気に入るような人であれば、それにこしたことはありませんよ。でも、なかなかそうはいかないんです。自分が気に入るどころか、嫌いなタイプの相手をわが子が選ぶということがよくあるんです。そんな時に、頭にカァーッときて、〈そんな人と結婚するなら、勘当よ?!〉などと、まるで、自分の結婚の相手みたいに考えて、怒り狂うんです。世の親って、子供の結婚となるとほんとにおかしくなっちゃうんですね。他人事のように言っていますが、私にも身に覚えがあります。私じゃないんですが、私の女房が長女の結婚の時に、まあ、それに近いようなことを娘に言ってしまいました。娘が「結婚を考えている」と言ったその相手との結婚は、私も決して幸せなものにはならないだろうと思いましだけど(と言うと、何か冷静に聞こえますが、心の中は激しく波立っていたんです)、「でも、本人が結婚したいというんならしょうがないんじゃない」などと当たりさわりのないようなことを言ったら、女房の一撃をくらいました。「あなたは、冷たい!」って。そこで、私は後で女房と話し合いました。くわしいことは覚えていませんが、「どんな嫌いな相手でも、その相手との結婚がうまくいかないと思えても、そして、そのことは娘にはっきり伝えるのが親の愛情だと思うけど、でも、“結婚したら勘当する”と言うのは言い過ぎだと思う。うまくいかない、と思うのなら、なおさら、娘が戻ってこなければならなくなった時には、ドアを開けておかなければいけないんじゃないか」といった趣旨のことを言った覚えはあります。結末はどうなったかって?その相手との“深いつき合い”を一年ぐらい続けた娘は、結局、別れることになり、別の男とつき合いを始め、そしてその人と結婚し、落ち着いています。